【松本市】家族信託の報酬について
家族信託を行う際の専門家報酬について解説します。
「家族信託を考えているけれど、報酬がわからない」
「専門家報酬が高い気がするのだけれど」
「成年後見を使うよりは安いと聞きましたが本当でしょうか」
家族信託の報酬について、こういった疑問が浮かぶようです。
「家族信託コンサルティング報酬」とは?
コンサルティング報酬
家族信託を専門家に依頼すると「家族信託コンサルティング報酬」という報酬がかかるという事務所が多いようです。
しかし、この「コンサルティング報酬」という名目は、実は、司法書士・行政書士の他の業務で見かけることが一切ない、特殊なものなのです。
弁護士さんや税理士さんでも同じと思います。
例えば「遺言書コンサルティング報酬」「離婚コンサルティング報酬」「借金整理コンサルティング報酬」といった名目は見たことがありません。
司法書士と報酬
司法書士が通常、司法書士業務として頂く報酬は、司法書士法3条に定められている業務類型に基づいて、大きく分けて4つの類型があると思います。
(1)代理報酬
・所有権移転登記など登記の代理申請
・依頼者の代理人としての債権者との代理交渉
・訴訟代理人として裁判を行う
(2)書類作成報酬
・相続登記の際の遺産分割協議書作成報酬
・商業登記の際の株主総会議事録作成報酬
・訴状、答弁書、申立書等の裁判書類作成報酬
(3)相談料
・訴訟代理事件、訴訟外の代理事件に関する相談料
・登記の代理、登記書類作成に関する相談料
・裁判書類作成に関する相談料
(4)文案作成報酬
・遺言書文案作成
・任意後見契約書文案作成
・定款案作成
ほかに、売買の際の「代金決済立会料」、訴訟の際の「期日日当」や調査を要する事件については「調査報酬」などがあります。
「コンサルティング報酬」と「相談料」の関係
では、「コンサルティング報酬」の「コンサルティング」とは何なのでしょうか?
<デジタル大辞泉(小学館)>
コンサルティング【consulting】
専門家の立場から相談にのったり指導したりすること。また、企画・立案を手伝うこと。「コンサルティングサービス」
と、いうことのようです。
これを具体的に分析してみましょう。
・「専門家の立場から相談に乗ったり指導すること」
これはまさに司法書士法に定められている「相談」業務にほかなりません。
ということは、この部分については従来からある「相談料」と何ら変わりがないということになります。
・「企画・立案を手伝うこと」
この部分については、「契約書案」「申立書案」などの立案を手伝うこと、という「文案作成」業務が当てはまってくると思われます。
従来からある報酬形式としては「文案作成報酬」がかなり近い意味合いとなると思います。
まとめますと、「コンサルティング報酬」も、従来からある「相談料」と「文案作成報酬」を合わせたものにほぼ近いものと言えると思います。
なぜ、家族信託だけ「コンサルティング報酬」?
では、従来の報酬項目とほぼ変わらない意味合いであるにもかかわらず、なぜ家族信託だけ「コンサルティング報酬」という名目の報酬設定をしている専門家が多いのでしょうか…?
これは「高額の報酬を可能とするために、専門家が新しく付けた名称」に過ぎないと思ってます。
つまり、従来の相談料であれば、それだけで100万円は取りづらい、文案作成報酬でも100万円取るのは気が引ける、ということで新しい項目を持ち出したのではないかと思っています。
当事務所では家族信託の報酬を安価に設定しています
そこで、当事務所では、家族信託だけ「コンサルティング報酬」という名目の報酬を頂くことに理由がないと考え、次のように、他の業務と同じく、従来からの報酬名目で設定させていただいています。
・相談料
・調査報酬
・家族信託契約書作成、契約書文案作成報酬
また家族信託だけ、高額な報酬が発生することにも合理的な理由が見つかりませんので(むしろ、そうしてしまうと、他の業務の価値が下がってしまいます)、おそらく他の事務所や専門家に比べて、家族信託の報酬は60%~50%程度となっております。
理由ですが、ストレートに言って「家族信託の専門家報酬は高額すぎる」と考えているからです。
そして、家族信託に限らず、業務全般において1つの事件で報酬が100万円を超えるような報酬設定は、当事務所では行っておりません。
成年後見と比べれば報酬が安い?
成年後見人の報酬とは性質が異なります
「成年後見人を付けた場合には月額3万円の報酬がかかるため、5年で180万円にも上るため、家族信託コンサルティング報酬の方が安い」というような表記もよく見かけます。
これは、「比較対象としてはいけないものを、比較対象としている」という点に注意が必要です。
成年後見人の報酬は家族信託を行う場面(契約する)の報酬とは異なり、日々の成年後見人としての業務の対価なのです。
・現金の管理や預金の管理
・施設入居費、医療費、光熱費などの支払い
・空き家の管理
・生活費の管理
・入院時の契約
・介護サービスの手配や契約
・公的保険、給付の手続きや更新
上記のような成年後見業務の対価が、月々の後見人報酬です。
そうすると、家族信託において、これに対応する報酬は「家族信託の受託者報酬」のはずなのです。
例えば、長男を信託の受託者とした場合、長男が受託者としての職務を行っていきますので、これに対する対価として長男に受託者報酬を発生させることになります。
ですので、日々の業務の対価である、この受託者報酬が、成年後見人の報酬と比較対象になってくると思います(ただし、成年後見人は家族信託と異なり、財産管理だけでなく身上監護も行っています)。
なぜこのような「比較対象がおかしい」ということが起きているかというと、成年後見より家族信託の方が報酬が安いと思わせて「家族信託契約の依頼を獲得する」のが目的と思われます。
信託は複雑高度、しかし信託だけではない
家族信託契約時の専門家報酬が高額となることについての理由が「家族信託は複雑高度だから」というものを見かけます。
しかし、それを言ってしまうと「離婚協議書は複雑でないから〇万円」「遺産分割協議書は〇万円だから信託より複雑でないということ」「不動産登記は数万円だから簡単」という専門家の業務の自己否定につながり、「信託だけ他の業務に突出して複雑高度」ということになってしまいます。
本当にそうでしょうか?
他の業務でも、複雑高度な業務はたくさんあります。
当事務所では、家族信託に限らず、適正な報酬設定を心掛けたいと考えております。
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