【松本市】任意後見制度の手続きについて
成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見制度」があります。
法定後見制度のことを指して「成年後見」ということも多いのですが、「任意後見制度」も大変使い勝手がよく便利なものです。
なお、海外では「任意後見制度」のみ採用している国もありますが、日本では「法定後見」と「任意後見」の両方の制度を導入している関係で、任意後見制度の利用が少ない状況にありますが、今後、増加していくものと思われます。
法定後見と任意後見
法定後見制度とは?
法定後見制度とは、既に判断能力が低下している方を保護するために、家庭裁判所へ選任申立てを行い、成年後見人を選任する制度です。
認知症や障がい、病気などで判断能力が現実に低下してしまっている方のための手続きです。
任意後見制度とは?
任意後見制度は、判断能力が十分にあるうちに、将来的に後見人となる人を決めておく制度です。
今は元気だけれど、この先どうなるかわからない、という場合に、その時に備えて後見人となる方と契約を結んでおくのが任意後見制度になります。
任意後見制度利用のパターン
【将来型】
将来型は、文字通り、将来判断能力が低下した際に、後見人がすぐに後見人として動けるために結んでおく契約になります。
【移行型】
将来型+現在の財産管理も依頼、というのが移行型です。
つまり、判断能力がある現在も、財産を自分で管理するのが不安である場合などに財産の管理を依頼し(任意代理)、そして、判断能力が低下した場合には任意後見に移行する、というものです。
特殊詐欺被害が多発している現状では、このタイプは財産を守るために大変有効です。
【即効型】
今すぐに任意後見契約を発効させ、任意後見人を就任させるものです。
この即効型では、そもそも任意後見契約を締結できるくらいの判断能力がないと、契約が出来ませんので、判断能力がある程度高いことが前提です。
また、そういった場合には診断書を取ってみると法定後見の「補助」「保佐」が利用できるケースも多いため、どちらが良いか慎重に検討を行います。
任意後見人を就任させるには
任意後見契約に基づいて、任意後見人を就任させるには、家庭裁判所へ「任意後見監督人の選任申立て」を行います。
任意後見は契約によって行われますが、その契約内容が妥当かどうか、またしっかり後見人として職務を行っているか、監督する人が必要となるからです。
任意後見制度を選択すると良いケース
法定後見?任意後見?
判断能力が低下した際に法定後見制度を利用すれば、成年後見人は就任できるわけだから、任意後見制度は使わない、というのも当然、一つの判断です。
しかし、次のようなケースでは、任意後見制度の方が良いと思われます。
・子どもがいない場合
・死後事務委任も依頼したい場合
・知らない人が成年後見人に就任するのに抵抗がある場合
子どもがいない場合には、基本的に兄弟姉妹(亡くなられている場合には甥・姪)が相続人になりますが、これらの方以外に相続させたい場合には、遺言書の作成が必要です。
その際に、遺言執行者に指名する専門家(弁護士、司法書士など)に、任意後見人にもなってもらえば、スムーズです。
また、死後の事務(葬儀や支払、納骨など)を専門家に依頼したい場合には、その専門家に任意後見人になってもらうとスムーズです。
さらに、法定後見制度利用の場合には、知らない人が成年後見人に就任する可能性も高いです。
それを避けるには、知っている専門家に任意後見人予定者になってもらい、任意後見契約を締結しておくことで解決できます。
任意後見制度利用の注意点
成年後見人の経験が不十分な専門家も
現在、司法書士においては、成年後見の団体に所属し、一定の研修を受けた司法書士しか、法定後見の成年後見人になれません。
しかし、任意後見人の場合には、そうでない司法書士や行政書士でも任意後見人になれてしまいます。
その場合には、成年後見人の経験が全くない司法書士が就任するケースとなる場合もあります。
報酬もまちまち
任意後見人の報酬は、任意後見契約で定めますので(法定後見の場合は裁判所が決める)、ある程度金額は自由に定められますが、高額とならないよう注意が必要です。
裁判所から不適格とされる場合も
任意後見人候補者が、成年後見人として経験が不十分な場合や、あまりに高額な報酬である場合には、家庭裁判所から後見人就任に難色を示される場合もあります。
具体的には、任意後見人就任の前提となる「任意後見監督人の裁判所への選任申立て」の際に、裁判所から「その方は不適格なので、法定後見人を就任させる方向に切り替えます」ということになります。
そうなってしまうと、せっかく結構な金額を払って任意後見契約を締結したのに、無駄になってしまいます。
任意後見契約を締結する前に、慎重な検討が必要です。
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