【松本市】成年後見制度とデメリット
成年後見制度を利用する場合のデメリットについて、最近、正確ではない情報や、誇張されている点が多いと感じています。
しかも、専門家(特に成年後見人に就任したことがない専門家)による誤った認識に基づくデメリットの指摘がなされているケースもあり、無用な誤解を招いているものと思われます。
特に、民事信託(家族信託)との比較の場面で、成年後見制度のデメリットについて不正確な内容を目にすることがあります。
1,成年後見人を選任すると「本人の預金が凍結される?」
成年後見人を選任すると、口座が凍結されるわけではありません。
ご本人が認知症などで判断能力が低下している場合に、金融機関が本人保護のために預金口座を凍結し、出金できなくすることはあります。
成年後見人を選任すると、本人の預金について、成年後見人に管理権が移り、成年後見人による管理と出入金となるだけです。
2,「本人のため以外のお金は、一切支払えなくなる?」
成年後見について、このデメリットも目にすることがありますが、これも大きな誤解です。
まず、扶養義務に基づく支出は可能です。
例えば、夫婦で暮らしていて、夫が施設に入り、夫に成年後見人が就任した場合に、自宅で暮らす妻の生活費が出せない、というようなことはなく、妻の自宅での生活費も支出可能ということです。
これ以外にも、今まで本人の意思に基づいて負担していた支出は、家裁との協議で支出可能となるケースも多いです。
例えば、自宅が息子と共有であるけれど、息子の経済的負担を減らすために、親だけが固定資産税を納めていた場合です。
3,「本人が自由にお金を使うことができなくなる?」
こちらのデメリットも、成年後見制度に対して誤解のある部分です。
「日用品購入のためのお金」は自由に使えます。
本人が、食べたいものを買ったり、CDやDVD、本の購入など、日常的な支出は自由に行うことができますし、そのために現金や口座を持つことも可能ということです(資産に余裕がない場合には、成年後見人と本人、支援者で使える範囲・金額を決めます)。
これは、当然と言えば当然のことです。
判断能力が低下していたとしても、買い物や日常生活は自分でできるという方から、購入の自由や生活の自由を奪うことはおかしいからです。
4,「親族が成年後見人になった場合、無報酬である」
こちらも大きな誤解です。
親族が成年後見人である場合にも、きちんと家庭裁判所は報酬決定を行ってくれますし、本人の財産の中から、その報酬を受け取ってよいのです。
「親族が後見人になると、手間ばかりで無報酬」ということはないのです。
5,「親族が後見人になると、家庭裁判所への報告が大変な手間であったり、難解」
こちらは、過度に誇張されていると感じています。
当事務所では、親族が後見人になっているケースの後見監督人や、親族の方と共同で成年後見人に選任されているケースも数件ありますが、そこまでものすごく大変であるとか、難解であるという声は聞こえてきません。
現金管理を少なくして現金出納帳作成の負担を減らす、ネットバンキングや口座振替による支払いを活用したり、工夫をすれば、手間自体はある程度減らすことができます。
また、家庭裁判所からは報告書のひな型を最初にもらえますので、それを埋めれば報告書は完成します。
さらに、きちんと後見人としての職務に対しては、3に書きました通り、報酬が付与されます。
6,まとめ
成年後見人の選任によるデメリットは確かにあります。
投機的な取引ができない、自宅を売却するには許可のハードルが高い、一度就任したらずっと成年後見人が就く、親族だけで成年後見人に就任できないケースが多い、などの点です。
しかし、メリットもたくさんあります。
メリットは、本人の生活、財産を保護できることに尽きます。
しかも、この先ずっとです。
純粋な制度比較ではなく成年後見制度のデメリットを過度に誇張し他の制度に誘導するのは、専門家の営業行為の一環であることが多いですが、本当に利用すべき方が利用を控えることにもつながるため、好ましいことではありません。
デメリットがあって、制度上良くない点があっても、司法書士会などにその点を集約し、制度改善を図っていくのが正しいあり方ではないでしょうか。
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