【松本市 家族信託】本当のメリット、デメリット①

query_builder 2021/09/22
成年後見
緑

「民事信託」「家族信託」が一大ブームになっています。
士業界でここまで一大ブームとなるトピックはあまりないのかもしれません。

当事務所にも、民事信託(家族信託)を選択可能な相談が寄せられています。

しかし、手続き選択について相談者の方と入念に検討すると、民事信託は利用せず(利用できず)、任意後見制度や法定後見制度、遺言書作成など別の制度の利用のみを選択するケースが多くなっています。

その理由は、下記の通り、本当のメリット、デメリットを検討した結果、という点にあります。

1,他の制度としっかり比較すると、利用するメリットがない
当事務所では、成年後見の申し立て、任意後見契約公正証書作成にとどまらず、成年後見人に積極的に就任しています。

そういった経験から、民事信託(家族信託)、任意後見契約、成年後見人選任申立て、遺言等を総合的に検討していくと、民事信託(家族信託)は不要、という結論になることが多いのです。

つまり「財産を管理して契約等をしてもらえればいいので、任意後見契約だけで大丈夫です。こちらで後見人になっていただけるのなら安心ですし」となるケースや、「すでに判断能力が低下しているので、成年後見人選任の申立なんですね。こちらで後見人に就任していただければ」というケースが多いということです。

後見人への就任を行っていない士業では、成年後見人として本人のために実際に職務を行うことの具体的なメリットをきちんと把握していないこともあり、イメージで成年後見制度を批判しているケースも見受けられます。

成年後見制度ですが、これは、介護保険制度の導入と並び、日本の高齢者福祉の「両輪」と呼ばれています。

国、そして法律家、福祉関係者が一丸となって導入した本人保護のための制度です。確かに、良くない点や使い勝手が悪い点もありますが、全否定し、民事信託(家族信託)の方が優れていると断定する表現は、ちょっと検討が足りなすぎるのではないかと思います。

また、当然のことですが、すでに認知症等で判断能力が低下している方は、民事信託を含め、契約を結ぶことができないのですが、診断等を行わず、判断能力はあると思い込んで民事信託利用に踏み切るようなことはあってはなりません。

法律上無効となります。


2,メリットと呼ばれている点についてしっかり検討してみる

(1)倒産隔離機能はメリット?

民事信託(家族信託)のメリットとして、まず「倒産隔離機能」が挙げられます。
要するに、受託者(財産を預かる人)が破産しても、本人が信託した財産は破産から除外され、守られる、というものです。

これは、本人保護のための大きなメリットとなります。

・個人事業を営んでいて金融機関から借り入れがあるケース
・住宅ローンを組んでいるようなケース
・事業承継に備えて株式を信託したいケース

このようなケースでは、受託者に将来、万が一のことがあった際に倒産隔離機能がメリットとなります。10年、20年と長く民事信託は続くケースもありますので、受託者に予期せぬことが起こり、差押・破産等が発生するかもしれませんが、それらの場合に信託財産を守ることができます。


また、アパート経営をしている方が、自分で経営が出来なくなってきたのでただ一人の家族に信託したいというケースで、その家族がやむを得ず多額の負債を抱えているようなケースなら、倒産隔離機能によってそのただ一人の家族を受託者とできるため、メリットはあると思います。

ただし、倒産隔離機能を確保するために、信託専用の「信託口口座」を開設することと、「不動産の信託による所有権移転登記」を行うことが必須です。


(2)何世代先までも財産承継者を指定できるのはメリット?
この点について、遺言では次に取得する人しか指定できないけれど、民事信託ならば取得した人の、その次の世代の承継者まで指定できる(受益者連続型信託)、という点がよくメリットとして上げられます。

ここで、ちょっと冷静に遺言について考えてみましょう。
遺言のメリットとして良く言われるのが「思いを残せる」という点です。

この点、受益者連続型信託を使うと、信託によって財産を取得した方は、次の承継者がすでに決められていますので、自分の思いを残せません。「誰に財産を相続させるか」という自分の「思い」を無視されることになります。

つまり、何代も先まで縛る受益者連続型信託は、戦前の「代々、戸主がすべて相続する」という「家督相続」と似た効果を持ちます。
戦争が終わり、民法が改正され、「家制度」は解体され「個人の権利」を尊重する民法に生まれ変わったはずなのに、です。

ですので、何代先までも縛るという、この機能が誰にとっても「メリットになる」とは思えません。

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