【松本市】面会交流の調停について
面会交流に関する家庭裁判所の事件が増加してきています。
平成23年度の面会交流の調停は8714件でしたが、令和元年には13534件に増加しています(司法統計より)。
今回は、面会交流の調停と、面会交流の取り決めについて解説します。
面会交流の現状
民法改正
平成24年の民法改正により、面会交流の協議に際しては、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と明記されました(民法766条1項)。
日本における面会交流の実施状況は下記のとおりです(母子世帯、平成28年度全国ひとり親世帯等調査より)。
・取り決めあり 24.1%
・現在も面会交流を行っている 29.8%
・面会交流を行ったことがある 19.1%
・面会交流を行ったことがない 46.3%
日本では、面会交流はこのように大変低調で、半数近くの離婚で「面会交流を行ったことがない」という、子どもと父親(または母親)が生き別れになっているような状況にあります。
民法に明記されたのは、このような状況を改善するためと思われますし、平成20年頃からは家庭裁判所も、面会交流は実施することが原則で事件を取り扱ってきています。
面会交流は「子どもの権利」
よく、誤解のある点なのですが、面会交流は親の権利ではなく「子どもの権利」です。
「親が子どもに会う権利」としてしまうと、子どもが嫌だったり思い出したくない暴力があったりしても、会わなければならないという方向となり、子どものためになりません。
あくまで「子どもの権利」なのです。
ですので、「離婚したら子供には一切会わせない」ということも、子どもの権利を一方的に奪うものとなり、認められません。
離婚時の面会交流の取り決め
まずは親が意識を変えていきます
面会交流の実施、そして養育費の支払いをきちんと継続して行っていくためには、離婚時に「親の意識」を変えていく必要があります。
そこで現在、家庭裁判所などで「親ガイダンス」の導入が広がってきています(海外ではすでに定着している国も多いです)。
「親ガイダンス」とは「父母に対し、父母間の紛争が子に与える影響、紛争下にある子の心理、紛争下にある子への適切な接し方等に関する知識付与や助言を行う」ものであり、当事者に、「子の福祉を最優先とした解決を図ることの重要性の理解を促す」ことを目的に行うものです。
わかりやすく言うと、「離婚により夫婦は終了するけれど、親の立場は続いていくため、子どもの健全な成長のために親が離婚後の親としての考えを身に着けるもの」です。
かつては、家制度の名残もあり、「離婚した後は子どもと絶縁」「離婚したら親ではない」などいう時代が続きましたが、子どもにとって親はこの世の中に2人しかおらず、健全な成長のためには親二人が面会交流や養育費を通して関わっていくことが重要、と変化してきています。
まずは、離婚時にしっかりこの点を理解し「子どものため」という視点で面会交流と養育費の取り決めに入っていくことが重要です。
面会交流の取り決め方法
面会交流の取り決め方法ですが、私文書(合意書や協議書など)、公正証書、調停と3つの方法があります。
離婚時には、面会交流のみでなく、親権や養育費、財産分与などと一緒に取決めますので、私文書ではなく公正証書か調停での取り決めが望ましいです。
離婚後の面会交流取決め
離婚後に面会交流について決めたい場合(取り決めを変更したい場合)には、調停を申立てることになります。
なお、子どもと一緒に暮らしている親も申立が可能です。
これは、面会交流の取り決めを変えたい場合や、全く子どもに面会してもらえず、子どもがさみしい思いをしている場合に面会交流を実施したい場合に有効です。
調停は話し合いの場ですので、調停内で子どものための面会交流を決めていくことになります。
子どもの考えも、調査官が聞き取ってくれます。
直接面会するのには抵抗がある場合
しばらく子供が面会交流をしておらず、直接の面会交流を行うことに不安がある、というのは当然です。
特に、久々に会った方の親は、ついつい甘やかしてしまうため、普段のしつけの意味がなくなってしまったりするからです。
そのために、面会交流実施の第三者機関が増加しています。
NPO法人などが、面会交流の際の日程調整や付き添い、親からの受け渡しを支援しています。
また、間接的な交流から始めてみるという方法も効果的です。
間接的な交流とは、メール、LINEでのやりとりや手紙での交流、テレビ電話での交流、クリスマスや誕生日の贈り物などです。
間接的な方法で安心を築けば、直接的な面会交流に移行することも抵抗がなくなっていきます。
面会交流のご相談を承っています
当事務所では、面会交流の取り決めを行いたい場合や、取り決めを見直したい場合のご相談を承っています。
相手と合意が整えば、公正証書を作成し、合意が難しければ調停を申立てていきます。
母親、父親、どちらからもご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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